2008年01月01日

賀詞

 俵が舞い蔵が飛ぶ光景を目の当たりにした
長者でさえ今私が目の当たりにしている光景
を見る事は恐らくなかっただろう。鼠の着包
みを纏い転がる俵に乗って演じられる太神楽
なぞ。
私なぞ俗人であるからその着包みの鼠の素
性を思いいつ何時野暮な邪魔が入らぬかと困
惑し、波乱に対する一抹の期待も同時に抱い
てしまうのであるが、演じている当人はそう
言う悠長な事を言っておられぬ様だ。
とりあえず名の知れ渡った血筋である。些
細なヘマも一族の語り草になって後生安穏と
はいかぬのだろう。世間の目よりも血縁の語
り草の方が油断出来ぬかも知れぬ。
そう言う感慨を抱いている間に演目は恙無
く進む。出来ればこのまま最後まで行ってし
まえば良い。成功すれば見咎めも気のせいに
して貰えるだろう。
そして最後の紅白の鞠が見事に収まる。美
国の鼠もどきは誇らしげに一礼をした。

四百字の小説にて。本年もよろしくお願い致します。
posted by 葡萄瓜XQO at 00:33| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 煩悩の余り | 更新情報をチェックする
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